練習再開中!(団長の断腸ではない思い)

2020年2月2日にこれまでにない数のお客様(当楽団比)をお迎えして大成功を収めた第13回演奏会の直後、日本にも中国大陸に端を発する未曽有のウィルス危機が訪れてしまい、その対策とやらに我々アマオケ界もあっという間に翻弄されることになってしまいました。ステイホームの名のもとに、集まって演奏を行うことは不要不急とされ、そもそもの人間の生理的な欲求かつ自由な権利であるはずの「集まること」が家族や職場から制限がかかってしまったことで、活動に参加できなくなってしまった団員、そもそも好きでやっていたはずなのに自身でリスクを考えすぎたり、過剰な報道や風評を信じてしまったりで参加を見合わせた団員はどこの楽団にもいらっしゃり、当楽団も例外ではありません。また、会場を管理している自治体や国の政策で練習会場や本番会場が使えなくなってしまうなど、楽団のすべてにおいて大打撃を喰らう結果になってしまい、当楽団も続く二回の演奏会の中止を余儀なくされました。

しかし私たちが-東京と埼玉の境目で細々と活動しているちっぽけな楽団とはいえ-このまま歩みを止めるのは日本のアマチュア否すべての音楽芸術活動の火を消すことに他ならないという判断、それ以前に音楽は不要不急でない、そこにプロ・アマチュアの違いもない、という考えのもとで、2021年10月17日に曲目変更の上第14回演奏会を設定、さかのぼって3月より練習を開始しました。

この前後に緊急事態宣言やまん延防止等措置の適用が繰り返され、再開が危ぶまれたことも確かですが、音楽への情熱を第一に、こうした時勢に流されずに、会場が使える限り、会場がある限り活動を行うとしました。

私たちは、音楽活動の根源でありながらも根拠のあやふやなまま突然約1年もの間不可能にさせられた「集まって合奏をする楽しみ、よろこび」を改めて追い求めることとし、その楽しみやアンサンブルを阻害するような、会場の方針を逸脱するほどに過剰な感染症対策も団としてはとらず、現在月3回程度土曜日の練習を楽しんでいます。

ネット配信も盛んになりましたが、やはりホールの空間を人間の手や息によって満たす響きはいかなる高性能マイクや高性能録音機でも得られるものではありません。まして、オンライン合奏も真の音楽を奏でられるものではありません。いわゆる無観客公演は、ラジオやテレビ放送、映画館上映やビデオソフト収録のために古くからおこなわれてはおりましたが、やはり会場いっぱいのお客様をお迎えして演奏される音楽には、お客様だけではなく演奏者にも言い表せられない高揚感をもたらせてくれるものです。大巨匠レナード・バーンスタインは晩年はライヴ収録にこだわりましたし、同じくセルジウ・チェリビダッケは放送や記録は別として、録音したものを販売するという行為を大変に嫌いました。それは、ホールで、実際にお客様を迎えることで、演奏者とお客様がホールの中で一体となって造り上げる音楽こそが、真の音楽芸術だと考えていたからだと思います。